【Global Talk 2024-25】Session 27 Vanderbilt University × Knox

Session27のご紹介をします。今回は、ヴァンダービルト大学の学生さん7名、Knox生7名で交流をしました。交流は、おおまかに次のような流れで行いました。①自己紹介動画の投稿・視聴→②1回目のペア交流(調べたいトピックの決定)→③トピックに関して個人で調査・報告→④2回目のペア交流(トピックについて話し合いを深め、ペア毎に最終発表)

こちらの学生さんと交流するのは、Knox生としては私たちが初めてでした。そのため、交流が始まる前は少し緊張しました。しかし、これまでのGlobal Talkでの経験を持つKnox生がリードしながら、話しやすい雰囲気を作れるよう努力しました。具体的には、相手が話している時にはうなずき、相手の言葉に耳をよく傾けることを意識しました。また、相手が興味を持っていることに関連した質問を積極的に投げかけ、会話が広がるよう工夫しました。

相手と異なるのは母語だけではありません。専攻や興味のある分野も異なっています。そこで、1回目のペア交流では、専門分野が異なっているからこそできる率直な疑問を相手に投げかけました。相手の専攻はコンピュータサイエンスで、私の専攻は教育です。そこで、「AIについて研究することの魅力」について尋ねると、相手の学生さんはキラキラした目をしながら「今この世界で沢山使われているAIを作る側になれば、自分は世界に大きな影響を与える人間の1人になれる。」と英語で答えてくれました。自分と同じ大学生が、目の前に見えていることだけではなく、大きな世界を変化させることに興味を持っていると知り、大きな刺激を受けました。私たちのトピックは、Work Culture(労働文化)に決定しました。1回目のペア交流で自由に話している時に、話題として「アメリカと日本の労働文化の比較」が出て、2人ともそれについて面白いと感じたからです。トピックについて個人で調べてみると、アメリカ社会は日本よりもワーク・ライフ・バランスを考えていて、仕事と同じくらいまたはそれ以上にプライベートの生活を大切にしていることが分かりました。この時点では、個人的に、アメリカで働くのは日本で働くよりも楽そうだなと感じました。個人で調べただけでは分からないこととして、アメリカの労働文化の課題が気になりました。そこで、2回目のペア交流で、相手の学生さんにこれについて質問しました。すると、私の想像より、アメリカ社会は残業時間が多かったり、休みを取ることが難しかったりする現状が分かりました。学生さんの感覚では、6割くらいの会社は、休みを取ることが難しいそうです。私の中では、「アメリカ=プライベートを大事にしている」という印象がありましたが、実際には社会全体がそんなにすっきりとまとまってはいないことを知りました。アメリカは広いので、会社によって待遇が大きく違うこともあるそうです。

記事を見て、アメリカ社会で働くのは楽そうだと感じていましたが、アメリカ全体が同じような環境だと考えてしまっていたことにはっとしました。それでも、やはり日本はアメリカよりもプライベートの時間を大切にすることが難しいことが分かりました。それは、日本人がまわりの人の目を気にしやすいので、制度として休暇をとることができても、職場の雰囲気を気にして休暇をとれない人が多いことが影響していると考えました。アメリカでは、まわりの人の意見よりも自分の意見を大切にする傾向があるそうで、まわりの人のせいで休暇をとりにくい状況はあまり無いそうです。しかし、そうなると会社のルールや制度として、休暇をとりにくいことになるので、その解決のためには政府の法の整備が必要になると感じました。課題の根本的な解決に向かうためは、企業だけではなく、アメリカ社会全体が粘り強く取り組んでいく必要がありますね。

アメリカでは、上司と部下の関係がフラットであり、飲み会というプライベートな付き合いも少ないそうです。飲み会は、日本独特の文化だと気がつきました。日本ではこれまで、飲み会を通したコミュニケーションが、仕事によい影響を与えると考えられてきました。しかし、最近では飲み会に参加しない若者も増え、これを機に会社の人とのコミュニケーションの取り方もどんどん変わってくるかもしれません。若者が自分の意見を持って行動する風潮が広がり、上司と部下の関係がよりフラットになる可能性もありますし、関係が希薄化する可能性もあると思います。アメリカ社会の素敵なところは、上司と部下の関係はフラットですが、信頼関係を築きながら仕事をしているところです。ここはとても不思議だと感じました。アメリカには、なぜこのような労働社会の雰囲気があるのか、実際に自分が見て・体験してみたいと、新たな興味が湧きました。(ちなみに、相手の学生さんは、5~6人で行う小規模な飲み会をすれば、信頼関係を築くことができるし、お互いに負担になりにくくてよいのではないかと提案していました。今回は、飲み会文化の有無だけではなく、飲み会のスタイルについても2人で考えられて、楽しかったです。)

はじめは緊張していましたが、交流を重ねる度に私たちの緊張もすっかりとけ、最終的にはとても充実した交流を行うことができました。また、大学の課題でも研究でもなく、自由なテーマとして一つのことを考える機会はなかなかなく、とてもいい経験になりました。アメリカと日本の労働文化を比較して、どちらがいいということではなく、どちらにも長所と短所があることに気がつきました。今回は、労働文化について深く考えましたが、ここで終わりではなくこれをスタートにして、これからも日本、アメリカ、他の国の労働文化について考え続けていきたいです!(K.O)

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