【Global Talk 2024-25】Session9 Brown University × Knox

11月23日にブラウン大学で日本語を学ぶ学生とKnox生でアウトリーチプロジェクトにおける最終発表(同時交流)を行いました!この交流は9月〜11月の3ヶ月もの間ブラウン生とKnox生がペアとなり、各トピックについて学習言語を使いながら理解を深め、スライドを使いながら最終発表を行うものです。

【トピック】
■医学
・医者という職業はどのように見られているか、また医学部に入学するためには何が必要か
・そのうえで、アメリカと日本の医学の医療システムを比較する
・両国のシステムを向上させることはできるのか

■就業環境
・文系と理系の就職環境と賃金格差の理由・解決方法
・そして文系と理系を取る学生の既成概念についての理解
・アメリカと日本の大学における入学から卒業までの流れ

■海洋環境
・アメリカと日本の海洋環境の状況について
・どうすればその課題を解決できるのか、アメリカの解決方法と日本の解決方法を比較
・市民がその取り組みに貢献するために何をしたら良いのか

■就職活動
・アメリカと日本の就職活動はどのように行うのか
・理系学生、特にコンピュータ科学専攻の学生の就職はしやすいのか
・外国人が日本に勤める場合

■芸術教育
・日本、中国、イギリス、アメリカの芸術教育についてどんな違いがあるか
・その中の良いところや不足している点について

最終発表ではブラウン生とKnox生が協力しながら各ペアで8分発表、2分質疑応答の流れで行いました。

まず、アメリカと日本の就職活動について発表がありました。
日本の理系学生、特にコンピュータ科学専攻の学生(STEM)は他の専攻(科学専攻や生物学専攻等)の学生に比べて比較的就職がしやすく、アメリカの就職活動では大学在学中にほとんどの学生がインターンシップに参加しているとの事でした。ただ、本選考では200社応募して5社しか面接ができないなど厳しい現実のお話もありました。そして日本で働く外国人の人数は年々増えているものの、日本人の労働者と比べると賃金格差があるというデータが示されました。

この発表に対して、「アメリカの学生は日本の学生よりもインターンシップに重点を置いているようでした。」という感想や「学生が応募する企業に、誰が推薦状を発行してくれるのでしょうか?」という質問がありました。

次に、アメリカと日本の海洋環境について発表がありました。
日本は世界で1番のペットボトルの消費国であり、プラスチックは85%リサイクルされているのに対し、アメリカでは5-6%がリサイクルされ、プラスチックの91%は埋め立て等されているとの事でした。また、その現状に対し日本ではレジ袋の有料化やプラスチックの代替品となる素材の技術開発に取り組み、アメリカではボランティア団体が海洋環境を守る取り組みをしているとの発表がありました。そして、ゴミの分別や企業がプラスチック製品の使用を控える事なども大切であるとの事でした。

この発表に対して、「日本とアメリカでのプラスチック削減の取り組み方が結構違うことにびっくりしました。」や「日本近海のプラスチック汚染レベルが高いと聞いて驚きました。」という感想があり、海洋環境の問題の深刻さを学ぶことができました。

そして、芸術教育について発表がありました。
日本では美術の時間に専用キットやセットを使って作品作りをしてコンテストに参加するのに対し、中国では受験の為の1つという位置づけである事や、イギリスでは芸術作品のストーリー性が大事であり、アメリカでは芸術作品ができるまでの過程が大事である等の発表がありました。また、課題として中国では大学より前は自分らしいスタイルが禁止されていたり、アメリカでは先生の個性が生徒よりも強かったりする等が挙げられていました。そして解決策としてアジアと欧米の両方の良さを兼ね備えた芸術教育が理想的にあるとの事でした。

この発表に対して、「アメリカや日本や中国やイギリスなどで芸術教育におけるアプローチが異なるのは面白い」や「国による考え方の違いが芸術教育の違いに反映されているのではないかと思いました」という感想がありました。

交流時間の半分を過ぎた頃に医学について発表がありました。
アメリカでも日本でも大学の医学部に入学するには高額が必要であり、アメリカでは政府が特定の医学生に向けて出している奨学金があることや、日本では大学卒業後に決められた病院で一定期間働く事を条件に受給できる奨学金がある等のお話がありました。医療システムにおいては、アメリカでは民間保険(約60%)と公的保険(約40%)のハイブリッドが一般的であり、医療費が高額であるにもかかわらず無保険の人々もいるとの事で、日本では国民皆保険により全員が保険証を持ち、年齢によって医療費の負担額が変わるものの医療費が高額になりづらいとのお話がありました。また、両国とも医師不足は深刻であり、その原因としてワークライフバランスの悪さが挙げられていました。

この発表に対して、「アメリカの医学部の授業料がとても高額でびっくりした。アメリカでは国民皆保険がないのは知っていたが民間保険と公的保険のハイブリッドで運営されているとは知らなかったので興味深かった。」という感想がありました。

最後にアメリカと日本の就業環境について発表がありました。
アメリカでは日本のセンター試験にあたるSATというテストがあり、日本のようにペーパーテストのみではなく、高校時の成績や作文、課外活動なども評価対象であるとの事でした。

また、文系と理系の卒業後の進路において、理系では実験やプロジェクトを行い主にエンジニアリングやヘルスケア等の需要の高い分野で働く事を目的としており、研究職や大学院、高収入の仕事に就く事が多く、文系では一般教育科目や卒業論文を行い多岐にわたる分野で働く事を目的としており、理系のSTEM分野よりも収入は低い傾向にあるが職業満足度が高いとの発表がありました。

そして文系の職種は多岐にわたるため理想と現実のギャップを感じる事があり、参入障壁は低く具体的なスキルが必要とされないのに対し、理系の職種は利益的な観点から問題解決をして、参入障壁が高く具体的なスキルを身に着ける為に時間を費やす必要があるとのお話がありました。

この発表に対して、「文系学生の長期的な職業満足度が高いということを知って意外だった。理系よりも働きがいを感じるシーンが多いのかも知れないと感じた。」という感想がありました。

3ヶ月もの間アウトリーチプロジェクトの交流お疲れさまでした!その甲斐があってアメリカと日本を比較した最終発表は内容が深くとても素晴らしいものになりましたね!

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